菅家さんは会見冒頭、裁判所の謝罪に「私も納得した。真っ白な無罪でしたね。感無量です」と晴れやかな笑顔を見せた。逮捕や起訴そのものが違法だったとして国家賠償法に基づく損害賠償請求については「今のところは考えていません」と語った。
弁護団も「謝罪には非常に心がこもっていた。(判決が)DNA鑑定の証拠能力を明確に否定したのは画期的で、取り調べを違法と明言した点も素晴らしかった」と評価。また、任意性はあったとして自白の証拠能力こそ認めたものの「信用性を全否定している。完全無罪と言っていい」と述べた。そのうえで「無実の人がなぜ自白し、誰も見抜けなかったのかは未解明」と指摘。誤判原因の究明のため第三者機関を設置するよう提言していく方針を明らかにした。
菅家さんは「弁護団、支援者の方に本当にお世話になりました」と感謝の気持ちを繰り返しが、取り調べを担当した検事や警察官への思いを聞かれると「自分としてはまだ納得できない」と表情を硬くした。
今後は自身の経験を生かし、冤罪に苦しむ人を支援していくという。「ちょっと耳が聞こえづらいんですが、体力的には大丈夫です」。力強い言葉で約40分間の会見を締めくくった。【吉村周平、岩壁峻、松本晃】
◇支援者「よかったね、よかったね」
判決直後、地裁正面玄関前で支援者らの大きな拍手が起こった。満面の笑みで姿を現した菅家さんは両手を上げて応え、「完全無罪」と書かれた紙を高々と掲げた。「よかったね、よかったね」。ともにこの日を待ち続けた「支える会・栃木」代表の西巻糸子さん(60)の姿を確認すると、西巻さんの腕に顔を押し当て、思わず嗚咽(おえつ)を漏らした。西巻さんも「前例を崩さない裁判が続いていたが、新しい時代が来た気がする。できる限りの訴訟指揮を執った裁判長に感謝したいし、立派だと思う」と興奮した様子で語った。【原田啓之】
【関連ニュース】
足利事件:菅家さん無罪判決 被害者遺族は事件風化に懸念
足利事件:菅家さんの無罪判決を祝う集会開く 宇都宮で
足利事件:「冤罪の構図」解明は? 26日に再審判決
日弁連:「誤判」原因究明へ、第三者機関設置を提言
三崎事件:証拠品付着の血液、DNA鑑定へ…再審請求中
・ <火災>駅新設現場の壁焼き1人けが 東京・羽田(毎日新聞)
・ 子供の口周りで気になるのは虫歯(産経新聞)
・ 放たれる白い光…太陽の塔、40年ぶりに目玉点灯(産経新聞)
・ 長官狙撃事件 アレフが削除求める 警視庁の捜査結果概要(毎日新聞)
・ 「捜査員の労苦に敬意」=銃撃事件時効で国松元長官(時事通信)